今村恭子 「月族」
![](https://www.fmnagasaki.co.jp/weblog/media/31/20130829-s-IMG_1033.jpg)
月、天野喜孝さん、古代の民。末裔。
風間の大好物がそろった
ちょっとでも触ったら こわれてしまいそうな ガラスのような作品。
最初は 天野さんのイラストに惹かれて 手に取りましたが
読んでみて すぐに 物語に 引き込まれました。
今村恭子さんの 独特な 行間の雰囲気に。
主人公の大学生:薬子(くすこ)は
これまで 男の人を好きになったことが ありません。
好き という感覚も いまいち よく分かりません。
そんな 薬子は、いつでも月に見守られ、寄り添われてきました。
ある日、病気で外に出られない青年:飛鳥の “話を聞く”
という アルバイトをすることになります。
飛鳥によりますと、薬子は 『月族』 だと言うんです。
覚醒しているか していないかに関わらず
月族には 月族が 分かるんです。
そして 飛鳥は 月族における「アダムとイブ」のような存在
月族の始祖:プラリネ の物語を 語りはじめます。
プラリネも 薬子と同じく 愛する、という感覚が分からない少女でした。
このプラリネの 哀しい物語と
薬子の 現実世界での生活とが 交互に描かれていて、
とっても幻想的なのに ちょっとお茶目で 引き込まれます。
太陽よりも 月が好き。
むしろ 月の視線を感じたり、月にお願いごとをしてみたり。
そして、 愛について、真剣に考え 悩んだことがある。
そんな方は ぜひ読んでみてください。
月明かりのように 冴え冴えとしていて、
でも 温かみがあって
ガラスのように 触れたら割れてしまいそうな 美しい物語です。
![](https://www.fmnagasaki.co.jp/weblog/media/31/20130829-s-IMG_1032.jpg)
ちなみに 古代月族としては
一巻目が 月族の始祖:プラリネ、北人の英雄:シーラ
二巻目が この二人の息子:ルーン、教育係:シュラ
三巻目が 月の民の末裔:トマ、寝たきりの青年:ギイ
彼らの それぞれの愛 が 描かれています。
意志は めぐり
逞しく、支えあい、戦って、新しい時代へと受け継がれ受け継ぎ。
『わたしは、あらゆる愛のために、今この瞬間を生きなければならない、
と思った。』
(3巻 271ページより抜粋)
「LaiLai 夏の36冊」で紹介した本をすべて読むと
風間の人格形成過程が 理解できるくらい
大切な本ばかりを セレクトしました。
毎日 好きな本を紹介できて 楽しかったです。
本棚には 紹介しきれなかった作品が たくさんあるので
また 紹介できればと 思ってます。
皆さんの 生涯の1冊 になったらいいな、という本ばかりなので
よかったら 紹介した作品、手にとってみてください。