風間の オールタイムベスト の中でも
5本の指に入る 名作。
人影のない 高校の図書室。
初めて 手に取ったのは
まるで辞書サイズの ハードカバー(上下巻)でした。
本当は このハードカバー版が欲しかったんですが
保管場所&金額の都合上、文庫5巻セットを購入。
文庫になったことにより
内容も重みも 若干 ライトになったような…?
でも、
人間とは、生きるとは、永遠とは、何か
深く深く考えさせられるところは変わらず。
この「屍鬼」は
昨日 ご紹介した ステーヴン・キング 「呪われた町」への
オマージュ作品なので 内容(設定)は ほぼ同じ。
ある田舎町に 古びた屋敷があって
そこに 余所者が引っ越してきます。
それをきっかけに 町で不審死が相次ぎ
さらに 死んだはずの人々が 起き上がっている目撃談もあり
(「屍鬼」の場合は)
少年、医師、僧侶が 事件の謎を追う、というのが大筋。
ただ、「呪われた町」が
どこまでも 勧善懲悪 & 神が絶対的 だったのに対し
「屍鬼」は
日本的な倫理観、道徳観、良くも悪くも 優柔不断な性質によって
何が正義で、何が悪 なのか 分からなくなるんですよね。
現代日本における 無神論者 の多さからくる
神さま・宗教の頼りなさ、これが まざまざと描かれています。
とても 儚くて 哀しい物語ですが
何度も何度も 夏になると 読み返したくなるんです。
ちなみに ?
風間はアニメ・漫画は 見てません。
小説のみ、です。
ちなみに ?
登場人物 : 辰巳に がっつり影響を受けました。
風間の基本的感性を作ってくれた作品は いろいろありますが
特に 儚さ = 美しさ を作ったのは 彼です。
辰巳の名言
「すべてのものは滅びる。意味なんてものは飛散して消失する。
けれども沙子がそれに抵抗してあがくさまは見応えがある。
落下していく様子そのものが、見ていて飽きないんです。
――綺麗だと思う。」
( 「屍鬼 五」 (新潮文庫) 376ページより)