8月 2014の一覧 | Home

ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 「モールス」

null

映画として
「モールス」(ハリウッド版)
「ぼくのエリ 200歳の少女」(スウェーデン版)にもなった
作品です。

いじめられっ子のオスカルと
彼が恋をする 美しいエリの物語です。
(2本の映画と原作小説と すべて名前が違うので
小説の名前で紹介)

エリは 実はヴァンパイア。
なので 彼女が生きるために食事をするシーンは
なかなかにホラーなんですが、
全編通して、スウェーデンのイメージにぴったりの
繊細で 儚げで 幻想的な雰囲気が 感じられます。

なので、気持ち悪さや 怖さよりも うつくしさを感じると思います。

また、
映画をご覧になった方も ぜひ 小説を手に取ってみてください。

エリが どうしてヴァンパイアになったのか。
エリに血を吸われると どうなるのか。
そんなところも判明しますし
映画には出てこなかったクリーチャーも登場します。
(出てきたけれども、そう変身するなんて思ってもいませんでした)

新しいヴァンパイア像も打ち出している作品です。
ぜひ ヴァンパイア・ファンのみなさま、読んでみてください。
2014年08月28日 13:40 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

LaiLai 図書室 番外編

今日(8/27)は
LaiLai 図書室番外編 ということで
今月リニューアルした 好文堂書店の店長さんに
オススメ本を 3冊教えていただきました。

? 「THE BOOKS
 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」


null

“本屋さんがイチオシする本を 365冊紹介する” 本です。

お話をうかがった オノウエ店長も
近藤史恵さんの「サクリファイス」 を紹介されています。


? 「長崎遺産 珠玉の教会 三沢博昭遺作写真集



建築写真家:三沢博昭さんの遺した写真を集めた写真集。

世界遺産へ、という思いも込めての オススメ ということです。


? 「はなちゃんのみそ汁



ご存知の方も多いと思います。
病気で亡くなった おかあさんとの約束
『毎日 おみそ汁を作る』を 守る はなちゃんと おとうさんの話。

食育 という観点からも 話題の作品です。


ということで 3作品ご紹介いただきましたが
リニューアルした 好文堂書店では
“文章を読むのが好きな人”のために
文芸書などを充実させているということです。
ぜひ お出かけになってみてください。

2014年08月27日 13:25 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

井上夢人 「ラバー・ソウル」

null

最終章
(Bonus Track:We Can Work It Out)を読み終えると
読み進める中で構築してきた 価値観が すべて覆ります。

最終章を読み始めて、唖然としました。


物語は、一言でいえば
駆け出しのモデルと 彼女のストーカーの物語です。

なので、途中までは ストーカー行為の気持ち悪さに
読むのを止めたくなります。

が、

(我慢して)読み進めると 最後には
純粋さに 胸が締め付けられて 泣き出しそうになります。


ここ数ヶ月読んだ中で 一番印象的な作品でした。

ぜひ 手にとってみてください。
2014年08月26日 17:43 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

三木笙子 「クラーク巴里探偵録」

null

明治時代。
ヨーロッパ巡業をしている曲芸一座。
敏腕番頭:孝介と、料理上手な新入り:晴彦の二人が
幽霊事件や盗難事件の解決、ストーカー退治 など活躍する
連作短編ミステリーです。

孝介と晴彦の関係が ホームズとワトソンのようで。
でも 実は 晴彦には孝介に言えない秘密があって。
その秘密が 大きな危険な計画につながっていて。
二人は否応なしに 巻き込まれてしまうんです。

明治時代のヨーロッパの独特な雰囲気と、
魅力的な 登場人物たちと、
素敵な 小道具と、
読み終わった後に 暖かい気持ちになれる作品です。


個人的には、マロニエの花 を育ててみたい、と思いました。

手にとってみてください。
2014年08月25日 13:30 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

瀬川貴次 「ばけもの好む中将 平安不思議めぐり」

null

“ばけもの”にしか興味がない 容姿端麗(変人)貴公子:宣能と
生真面目(で気弱)な中流貴族 末っ子長男:宗孝が
都を跋扈する鬼などの怪異の謎を追う 物語です。

つまり、
イケメンで仕事もできて家柄もいい若手ホープ
なのに オカルトおたく な宣能くん。
その趣味に付き合わされる 宗孝くん です。

設定としては 夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズと 似ていますね。

でも、この「ばけもの好む中将」の方が
さらっと 軽く 読み進めることができます。
ホラーホラーしていないので
怖いものが苦手な方も 大丈夫だと 思います。


あとがきに書いてありましたが

平安時代の 美しく雅で 実はけっこう残酷な世界へようこそ。

まさに この言葉通りです。

氷室冴子さんの「なんて素敵にジャパネスク」シリーズで
平安時代に どっぷり 浸かったみなさま ぜひ 読んでみてください!
2014年08月21日 13:40 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

近藤史恵 「タルト・タタンの夢」

null

ビストロ パ・マル(“悪くない”という意味)という
下町の片隅にある お店を舞台にした 短編集です。

タルト・タタン(りんごのタルト)やロニョン・ド・ヴォー、
ガレット・デ・ロワ、カスレ、チョコレートなどの絶品料理と
極上のミステリーを 一度に楽しめるところが オススメポイントです。

謎を解くのは パ・マルの 変人シェフ:三舟さん。
無精ひげを生やし、髪を後ろで束ねた無口なシェフなんですが
事件や不可解な出来事の謎を あざやかに 解いていきます。

常連の西田さんが 体調を崩したわけは?
フランス人の恋人は、なぜ最低のカスレを作ったの?

読んでいるうちに お腹が空いてくることもあるかも!?

気取らない アットホームな雰囲気で、
短編集なので 少しずつ読み進めることもできます。

美味しいもの好きな方、ぜひ 読んでみてください。
2014年08月20日 13:30 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

梶尾真治 「おもいでエマノン」

null

エマノン(EMANON) ⇔ NO NAME

エマノンと名乗る美少女と、
彼女の人生を通り過ぎていった人々との交流が描かれた
短編集です。

ナップザックを持ち ジーンズに粗編みのセーターを着て、
少しそばかすがあるが 瞳の大きな彫りの深い 異国的な顔立ちのエマノン。

彼女は、
地球に生命が誕生してからの三十億年の総ての記憶を
持ち続けているんです。

なので深みのある言葉、
哀しみと愛情溢れる行動など エマノンにくぎづけになります。

心温まる短編、
ちょっとゾクッとする短編、
切なくなる短編
いろんなタイプの短編が 8編 おさめられています。

40代、50代の方は 懐かしさを覚える描写も あるかと思います。

続編も出版されているようです。
探してみてくださいね。
2014年08月19日 13:36 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

朝井まかて 「先生のお庭番」

null

シーボルト先生と、彼の薬草園の園丁:熊吉の
4年間にわたる交流の物語です。

15歳の熊吉は、植木商 京屋 で修行しています。

ある日、
京屋から 出島に 一人 職人を派遣することになりますが
皆 嫌がります。

しかし、熊吉は皆に知られないように
阿蘭陀に憧れ、蘭語を独学していました。

ということで、熊吉は出島に奉公に上がることになりますが
文化・習慣の違い、
長崎をはじめ日本人の阿蘭陀人に対する偏見を知り
そして、思いもよらない事件に巻き込まれます。

シーボルト先生のお家やお滝さんが出てくるので
長崎の出島や鳴滝が登場します。
読んでいるうちに
薬草について、植物についての興味も湧いてきます。

長崎の情景が目に浮かぶ、そんな物語です。

なんといっても、
熊吉が 賢くって、健気で、応援したくなります。

直木賞受賞作家:朝井さんの 長崎ゆかりの作品、
読んでみてくださいね。
2014年08月18日 13:27 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

堀川アサコ 「予言村の転校生」

null

読み終わった後に 頭の中を占めるのは
「だるまさんが 転んだ」 と 「ヤンヤンヤーン、レッドヤーン」

主人公の奈央のお父さんが 故郷の村長選挙に出馬して
“これは決まったことなんだよ”という言葉の通り
当選してしまいます。

これをきっかけに 奈央は こよみ村 に移り住みますが
この村には 秘密の書 “予言暦”が あるみたいなんです。

元アイドルやその息子、“村八分”役などなどに囲まれ
奈央は いやおうなしに 村の謎に巻き込まれていきます。


ということで、正統派のファンタジー、ミステリー、(怪談)です。

読み終わった直後は 青春!さわやか〜!! と感じる反面
げに恐ろしきは○○なり…
○○ に当てはまるものは ネタバレになるので書きません。

神聖さ+胡散臭さ×青春の甘酸っぱさ が
ユーモアに味付けされて 家族小説の香り付けをされて
社会派ペーストも入れられた、そんな物語です。

いろいろ おすすめポイントはありますが
読み進めるモチベーションを支えてくれたのは
登場人物の一人(元アイドルの息子) 麒麟くんでした。

麒麟…
お習字とかテストの時とか書きにくそうですけど
なんて 良い名前!
2014年08月14日 13:24 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 

阿部智里 「烏に単は似合わない」

null

ちょっと平安時代に似た でも 異なる
“八咫烏” の一族が支配する世界が 物語の舞台。

若宮(世継ぎ)の后候補として、
朝廷で権力争いをしている 大貴族四家から 一人ずつ
姫君たちが 集められます。

それぞれ魅力的な4人は、若宮に気に入られようとしますが
次々と事件が起こっていきます。
果たして…

第19回 松本清張賞(を史上最年少で)受賞作品!ということで
硬派なミステリーファンも納得のラストが 待っています。

若干 だまされた感も否めませんが
それこそ、阿部智里さんの 筆力でしょう。

どんでん返しがたくさん起こるので
ラストに向かって 読み返すことが多くなると思いますが
ぜひ 読んでみてください。
2014年08月13日 13:37 カテゴリ:お知らせ
kazama 固定リンク 
«Prev || 1 | 2 || Next»