Ayumivoxxx

今、頭の中は古代にあります。

『銀の海 金の大地』/氷室冴子


大人買いした風間から
大人借りして読んでます。
大人なのに。

あれは中学生ぐらいだったか。

学生の頃に1〜2巻を買いました。
次巻の発売を待っている間に、
興味のベクトルが音楽(ラジオ)に
行き、実に20年ぶりの再読となりました。


『銀の海 金の大地』


氷室冴子の最高傑作にして遺作。
しかも、執筆途中での他界で、
そのエンディングは幻・・・。
という作品。
↓↓

日本が、まだ、倭の国を成す前の
小国に分かれていた時代。
国は「クニ」と呼ばれている。


村を治める首長(もしくは巫女)のもと、
人々は農耕と漁と狩りに日々を費やし、
山や海や川、太陽や闇、
そして、言葉に宿る神々に
畏怖と尊敬の念を抱いていた時代。


その時代に、佐保(サホ)という
美しい国(クニ)あり。

代々、姫巫女を首長(オビト)とし、
その占(ウラ)によって、
戦火や禍い事(まがいごと)から守られる
大和一豊かな国。

佐保の人々は皆、美しい。

他族との交わりを絶ち、
同族しか愛さない佐保は、
その “繰り返される血の濃さ” により、
不思議な霊力(チカラ)を持った
神人(カムビト)が幾人もいた。

肌も髪も透き通るように白く
目は血赤サンゴの様に赤い。


その佐保の巫女筋を引きながら、
奴婢(ヌヒ)に身を落し、
遂には、クニを追われた家族がいた。

母の名は御影(ミカゲ)。
息子の名は真澄(マスミ)。
そして、主人公の真秀(マホ)。


身体に流れる佐保の血が、
禍々しいほどの運命を引き寄せ、
それに翻弄される親子。

まほろばの名を持つ真秀(マホ)が
荒ぶるその運命に立ち向かう。


・・・あぁ、ここまで来て思う。

あらすじを簡単に話せない、この性格。
たぶん氷室さんの影響が色濃い。

情景が鮮やかに広がる描写、
人物の生い立ちや性格・面立ちや体躯までを
丁寧に伝える作風。

そういったディティールが、物語の世界に
深く読者を誘い、想像を掻き立ててくれる。


だから・・・、

「一言でいえば古代ファンタジー」
「マホという少女が頑張る話です!」

で、終われない。

時代背景や舞台描写から語らないと。


私が思うに、
この物語は“対”がテーマ。2つで1つの。

中国の太陰大極図のように、
“愛と憎しみ” “兄と妹” “姉と妹”など
いろんな「対」が、1つを形成するかの
ごとく交わり出てくる。

それを、氷室さんは、
“銀と金”“大地と海”というタイトルに
込めたのではなかろうか。


『銀の海 金の大地』/氷室冴子


氷室さんが亡くなった今、
物語のエンディングは永遠に分らない。

だけど、
読者がそれぞれの想像力で
エンディングを描くことによって、
氷室さんと「対」を成すような気がして。


各人によるマルチエンディング。
そんな“宿題”を最期に残した氷室さん、
粋すぎるよ。

さぁ、残された11巻目(ラスト)まで
あと3冊!!


夏だ!石田!
真澄の愛が哀しすぎるほど美しいのダーッ!!


2013年08月20日 19:01 カテゴリ:Ayumi voxxx
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