『夏の36冊』カテゴリの一覧 | Home

真堂樹 「龍は微睡む」

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この本も 表紙のイラスト&題名 に一目ぼれした本。

主人公は 歓楽街:花路(ホワルー)の頭である 飛(フェイ)と
彼を用心棒にする 領主:マクシミリアン。
(名前がカタカナなのは
 外国人居留区で育てられた 妾腹の息子だから なんですって)

このマクシミリアンが 飛 を からかうというか苛めるというか…
甘ったるい鬼畜さが この物語のミソだと思います。
(女性向け というわけではありません … 一応)

二人で仲良くすればいいのに 何でできないの!?
と思ってしまうくらい いがみ合って おもい合って、
じりじり させられますが
それもまた 萌えポイント かつ 読み応えに つながるんです。

番外編も含めて 33冊 という長編シリーズですが
延々と 甘甘な展開です。

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甘甘以外にも 信頼していた人の裏切りとか。
政治的な いざこざとか。
さまざまな要素がありはするんですが
一番の読みどころは いかに 飛 に 萌えるか。

“綺麗なお兄さん好き” には たまらないと思いますので
よかったら 読んでみてください。


ちなみに。
個人的な 萌え場面 第1位は
(シリーズ2冊目 「龍は花を喰らう」 ラストで)
飛が マクシミリアンに 翡翠のピアスを付けられるところ。

後々、中国に留学した際
翡翠のピアスを探したことは 言うまでもありません。
2013年07月09日 13:23 カテゴリ:夏の36冊
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丸山天寿 「琅邪の鬼」

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本屋さんで 2度見 からの ためつすがめつ。

明らかに 中国モノと分かるイラストなのに
帯に「メフィスト賞 史上 最高の異色作!」 の文字。
しかも 作者:丸山さんは 長崎出身。

メフィスト賞というのは
風間も好きな 森博詞「すべてがFになる」から始まって
西尾維新、清涼院流水、高田崇史などなど
ミステリー界の中でも 独特な 尖った作品が揃った賞なんです。

これまで 現代的なミステリー というイメージが強かったので、
(SFっぽかったり ファンタジーっぽかったり はあったけど)
中国モノ・歴史モノ なのに メフィスト賞 受賞…
意外すぎて びっくりしました。


登場するのは、
秦の始皇帝、
始皇帝から不老不死の仙薬を見つけるよう言われた 徐福、
徐福の弟子たち(易占術、医術、剣術などに秀でた人ばっかり)
かれらが住む 琅邪 の求盗(警察官) などなど。


ちなみに、
琅邪 : 中国大陸の港町で、古くから “あやかしの町” と呼ばれる。
鬼 : 幽霊・亡霊・人知を越えた怪奇現象・不思議な出来事。


琅邪の 偉い人(右大臣・左大臣 みたいな 東王・西王)の家で
事件(不思議なできごと)が起こって、
解決しようと奮闘するうちに 次々と不思議なことが起こってきて
それら 全部が 終わってみると “えーそういうこと?…だまされた!”みたいな。

若干 肩透かし感もありますが そこも含めて メフィスト賞。

個人的には
漢字がいっぱいなのに サクッと難しくなくて
だまされ方が 爽快で 楽しく読むことができました。

仙人も好きですし。
始皇帝・徐福ときて 邪馬台国とか
そのあたりの歴史も 大好きですし。

でも。
歴史好きの方には もちろんなんですが
ミステリーファンの方 にも 読んでいただきたい1冊です。
2013年07月08日 13:34 カテゴリ:夏の36冊
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夢枕獏 「キマイラ」 シリーズ

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今日ご紹介したのは 第1巻「幻獣少年 キマイラ」。

夢枕獏さんに はまって すぐに集め始めたシリーズです。

再刊行を何度か繰り返しているので
抜けている巻・ダブっている巻が あるかもしれませんが、
シリーズとして 私が確認しているだけで 18冊はあると思います。

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このシリーズの最大の魅力は キマイラ そのもの。
そして そこはかとなく感じられる 大陸(中国)の風。

『キマイラとは?』 を探っていくのが 大きなテーマになっているんですが
この キマイラが とても 不気味で 哀しげなんです。


(ラララララルウウ〜〜〜〜リィィィ……
 るるるぅ〜〜〜〜るるるる……) などと泣くんです。

この雰囲気は 夢枕さんにしか描けないものだと思います。


格闘技(プロレス)好きにはたまらない
体術・中国拳法(というか喧嘩)シーンもたっぷりなんですが、
個人的には キャラクターの密度・濃度が かなり高いと思います。

主人公:大鳳吼(おおとり こう)の なよなよっぷりとか。
ライバルで先輩の 九鬼麗一(くき れいいち)の 色っぽさとか。
そのほかにも 拳法の達人 の 適当さとか。
普通の女子高生の 肝の据わりっぷりとか。
出てくるキャラ全員が 濃いんですよね。

しかも キマイラ シリーズに出てくるキャラが
別のシリーズにも登場するなど 作品同士がリンクしているところも
魅力の一つです。


あとがきで 作者本人が
「この本は 絶対におもしろい。」 と 書いてらっしゃるように
絶対に おもしろいシリーズなので 読んでみてください。


まだ 未完なので 続きも気になります。
2013年07月04日 14:31 カテゴリ:夏の36冊
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桜庭一樹 「私の男」

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第138回 直木賞受賞作。
2014年 映画化決定。

とはいえ、大衆的な物語ではないと 個人的には思います。

家族を震災で亡くした 花 を引き取ったのは
親戚の 淳悟。

二人で暮らした15年。
禁忌を超えて 秘密を抱えた15年。

花の結婚式の日から
この息苦しい15年を振り返っていくんですが
本当に
息が詰まりそうな 若干の気持ち悪さも感じて
でも それでいて 心地よいような そんな 15年。

淳悟の気持ち・心象風景が 一切描かれない物語なので
何度も読み返しては さまざまな想像(妄想ともいう)が
膨れ上がっていくんですよね。

オホーツクの流氷
北風
雪・雨
ひんやりとしていて でも暖かくて、
若干の グロテスクさを もった 物語。

ぜひ 読んでみてください。
2013年07月03日 13:24 カテゴリ:夏の36冊
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三浦しをん 「月魚」

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この本を読んだ きっかけは たまたま。
中学生の頃 区の図書館に通うのが 日課だったんですが
片っ端から 手に取っていった中で
薄い・淡い・水墨画のような 透明な雰囲気が とても好きで
平成16年の初版を買いました。

三浦しをん さんの作品には
映画になった「舟を編む」、「まほろ駅前 多田便利軒」をはじめ
好きな本は たくさんあるんですが
“個人的 三浦さん作品ベスト1” な作品です。

『主人公の2人:真志喜と瀬名垣 が
 幼い頃から 密かな罪の意識をずっと 共有してきた――』 なんて
そこはかとなく感じられる 背徳感も魅力的なところ。

「まほろ駅前」シリーズ がお好きな方には
ぴったりな 1冊だと思います。



余談ですが。
この本を読んで
「いつか 古書店を営むのも いいなぁ」なんて 思ったんです。
仙人になれなかった場合の 次の目標 。



余談ですが。その2
ずっと ツキザカナ と呼んでいました。
ゲツギョ だと知ったのは つい3日前のこと。
2013年07月02日 13:21 カテゴリ:夏の36冊
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野沢尚 「呼人」

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主人公:呼人は、12歳のまま「永遠の命」に閉じ込められました。

この設定そのものが
精神年齢=14歳だった 風間が惹かれたポイントです。
(2002年の初版を買っているので 当時 高校生でしたけど)


呼人くんが 12歳のままなのに
小学生の頃からの友達は みな 大人になっていって。
その 置いていかれちゃう不安とか。

反対に 友達の
呼人がいつまでもピュアなことへの 嫉妬とか引け目とか。

そういった心の機微が とてもリアルなんです。


さらに ちょっとネタばれになりますが

防衛の厳しさ
人権問題
金融市場の危うさ
テロ
不老不死

などなど 気になるワードが ずらりと並んでいるのに
すべて つながっているのが とても引き込まれるポイント。

最初は スタンドバイミー のような わくわく感。
続いて 探偵モノ・刑事モノの どきどき感。
そして ラストに向かっての 大きな感動と失望感と希望。

さまざまな要素がミックスされた 傑作だと思います。


学生の頃読んだのと、
大人になってから読み返したのと、
いつか 親になってから 読み返すのと、
全然違う解釈になりそうな 面白さもあります。

ぜひ 読んでみてください。

ちなみに 野沢尚さんは
TVドラマ「眠れる森」、韓国でもドラマ化された「恋愛時代」
北野武監督「その男、凶暴につき」などなど話題作の脚本を
担当されていました。
2013年07月01日 16:19 カテゴリ:夏の36冊
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